Page 3: IV章2頁 伝道に命をかける
Authored by Rev. Chujoh Gisuke, Japan
Translated by M.A.F, Georgetown, IN, USA
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中條儀助様, 千葉県習志野市鷺沼4丁目8番9号
『韓国教会繁栄の理由:日本の伝道者が体験したことの四章中條儀助著』
IV章3頁 伝道に命をかける
以上が、韓国でおこなっている復興会であり、その内容や情況を、ここに時系列 的に記した。一口で復興会の特徴をいうならば ーーー
〇 同じ讃美歌を繰り返し、何度も、大声で歌う。
〇 熱心な祈りを、一緒に声をあげてする。
〇 讃師が、一人ひとりに按手しながら、聖霊充満と神瘉と問題解決のために祈 る。
〇 決断と徹底した献身を求める。
〇 聖書の言葉を、そのまま覚えさせる。
〇 家族、友人、知人を集会につれてくるように指導する。
〇 建物の拡張、伝道、祈り、奉仕、献金、集会の拡大を勧める。
復興会の讃師に問われることは ーーー
〇 高慢にならず、神を畏れる心を持ち続けること。
〇 人為的にならず、聖霊の導きを信じてゆだねること。
〇 神の言葉、聖書中心。
〇 信仰の確信と情熱が大切。
〇 自分を誇らず、キリストの十字架のみを誇ること。
〇 自分自身が恵まれ、祝され、体験したことを語る。
〇 神が御業を顕わしてくださることを信じ、期待して語る。
〇 御霊によって、悔改めが起こることを信じて語る。
〇 牧会者の助けとなるようにする。
〇 教会の徳を高める。
復興会を行う背景とその理由
韓国神学大学院長、李章植教授は「私が学んだ学校は、リベラルな学校でしたが、 卒業後、神学校で学んだ通りに牧会をしても教会は発展しなかった。したがって、 復興会の様式を取り入れるというわけだ。教会を復興させるには、あたりまえの 神学ではできない」と語り、韓国においては、復興会がどうしても必要であるこ とを強調する。「韓国の教会は民族と共に、歴史的に、たびたび苦難を経験し、 悩みと痛みを味わった。戦前は戦前で、日本の支配下で神社参拝とか、種々の悩みを もっていた。戦後は、承知のように、李承晩政権の独裁政治で悩んだ。それから また軍事革命で独裁政権となり、朝鮮戦争では共産主義者から非常な被害をこう むった」と長い歴史的な苦難が、背景にあることを強調し、さらに「民族的苦悩、 苦痛、苦難にしたがって、教会も一緒に苦しみを受けたのだ。その苦しみの中で (一時は教会がなくなったり、信者たちは方々に散らばったりしたけれども)教 会は国民を助け、慰め、物質的授助もした。このことが教会を再建させ、復興さ せるという信仰を強めたし、教会が再建されると信者も未信者も、教会には、な にか精神的な力があると、考え、認めた」と民族的苦難、苦痛、苦悩が神の恵み によって逆に働き、教会を成長させ、信者の信仰的力を増し加えた、と言ってい る。
これは神の摂理と恩寵である。苦難の中で民衆は人間的なことの一切に失望し、 いや自ら否定し、克服することによって、ただキリストの体なる教会のみに、真 実に生きる力を求めたのである。このような認識は、韓国教会の牧師、信徒一同 が信じ、理解していることである。
・ 区域集会
韓国教会復興の要因として「区域集会」がある。この集会は、一年間に二‐三回 行う「復興会」と異なり、一年中行っていつ平常伝道である。そのため「復興会」 よりも大切な要因であるとも思う。現在、この集会は、どの教会でも行っている 最も重要な伝道政策(方策)である。その方法は「点から線へ」、そして「線か ら面」へと広げていく。すなわち一人の信徒が中心になって伝道し、そこを拠点 として伝道し、面を作っていくのである。これを、ある人は「網の目」伝道方法 と言っている。
目的
この方法を使って、世界最大の教会を作った、ヨイド純福音教会趙ヨンギ牧師は、
四つの目的を挙げている。()『成功する区域礼拝』
日本アッセンブリーズ・オブ・ゴッド教団出版部、一九七八
年、一七‐一八頁)
〇 神を崇め、礼拝するため=主イエス・キリストの名によって集まる、すべて の集会の第一の目的は、あくまでも主イエス・キリストの父なる神を崇め、神を礼 拝することである。区域集会(礼拝)の目的も同じことである。礼拝を通して、 神を讃美し、神に祈り、聖書を崇め、栄光を神に帰するのである。
〇 神のみ言葉で恵まれる=神の言葉は霊の糧である。霊の糧に聞き、学び、食 べ、消化することによって成長する。つまり霊的に成長し、良きキリストの証人と なるために行う。
〇 神と人に交わるため=「わたしたちの交わりとは、父ならびに御子イエス・ キリストとの交わりのことである」(Iヨハネ一・三)の御言葉に立脚し、互いに 証しをし、信仰生活にとって有益な対話をする。「神の国は飲食ではなく、義と平 和と、聖霊における喜びとである」(ローマ一四・一七)をいつも覚えつつ、愛 の交わりをする。
〇 伝道するため=この集会の大切な目的は、家族、親族、そして近隣の人々に 伝道することである。教会に導く手段として、家庭に招くのである。ここでは、教 会の礼拝の見本となることである。だから、誰か必ず新しい人を連れて、共に礼 拝することが大切である。
区域集会の組織
(亠裴*相徳牧師、 一九八三年、日・韓バプテスト伝道会で「区域会」 について講演した。その時の資料より)
区域長← →引導者 (講師)
↓
勧察
区域員=一区域の人数は、だいたい五世帯ぐらい。
区域長の働き (同右)
〇 区域教会人カードの作制
〇 主日礼拝欠席者への連絡と報告
〇 一週内に必ず区域員への家庭訪問
〇 区域員の信仰生活の向上を勧める
(例) (a) 礼拝参加、(b)什一献金、(c)聖書日課を厳守、(d)誠 米の奨励、(e)伝道とあかし
〇 区域長会議及び徹夜祈祷に参加する
〇 他区域集会にも参加し、教育訓練をする
〇 月一回、金曜日の夜、合同区域集会を行う
勧察の働き (前掲書)
〇 区域長への協力
〇 区域集会のために訪問伝道する
〇 毎月行われる勧察会議に参加する
区域の活動 (同右)
〇 毎週金曜日に区域集会を行う
〇 区域集会の内容
(a)司会は区域長、(b)宣教は引導者(講師)、(c)他は礼拝と大体同じ
〇 礼拝堂の清掃
〇 区域連合集会に参加
〇 冠婚葬祭、諸活動の奉仕
・ 女子伝道会 (婦人会)
名称=名称については、最初「婦人助力会」と呼ばれたが、現在はだいたい「母 子伝道会」。または「女子宣教会」がある。
目的 = 会ができた目的、動機は「教会をどのように助けることが出来るか」ということだっ た。キリストの体なる教会のために、女性として何をなすべきか
組織 = 組織については、会員数によって、千差万別であるが、基本的には、会長、 副会長、書記、会計、そして、具体的な働きとして、伝道、教育、文化、親交、奉 仕、救済、音楽・・・・・・とある。
この会が教団教派に属しているならば、必ず、地方会や全国組織につながってい る。
活動
〇 牧師、伝道師の給写=開拓伝道を始めた時、最初に集まったのは婦人である。 この婦人たちは、たとえ二人でも、三人でも協力して牧師や伝道師の生活を助ける。 従って、すぐ「女子伝道会」を組織し、最初にやることは牧師、伝道師の生活を助 けることである。
〇 誠米活動=もともとは、祈りから出発している。祈りには必ず行動が伴う。 言葉だけで、行動のない信仰は、死んだ信仰である(ヤコブ二・二六)。韓国は 数年前まで、お米が不足し、麦やあわ、キビを入れて食べていた。いまは余って 輸出しているのだが。韓国人にとって、お米は生命の次に大切にされていた。こ のお米を毎回、食事のために炊く前に、家族が四人であれば四さじ分をとってお く。そして、袋に入れて毎週日曜日に教会に持って行くのである。教会では、奉 仕部(誠米部)の役員が受け取り、グラフ表に記入する。この誠米は、牧師と伝 道師の生活に用い、また教会での愛餐会や、行事の時に用いる。あるいは困った 人や、貧しい人、大きな教会では、いろいろな施設を訪問して献げているのであ る。生きた祈りの証詞である。
〇 伝道活動=ソウル市江南のバスターミナルには「タスキ」をかけた婦人が、 トラクトや教会案内、特別集会のビラ・・・・・・を配布している。雨の日も、 雪の日も一年中どこかの会が行っている。このような姿は大都市のみならず、地 方に行ってもよく見る光景である。伝道部の基本は、計画的な女子伝道会集会と 家族訪問である。そのために徹底した祈祷会が行われる。早天祈祷会、徹夜祈祷 会のみか「一日祈祷会」といって、朝、山に行き断食して一日中祈り、夕方帰っ てくるのである。ある場合は、夕食後、山に入って一晩中祈り、朝帰ってくるこ ともある。私も、このような会に行って、説教したり奨励したりした。
ある教会の女子伝道会では、地方教会や、開拓教会を二〇‐三〇ヵ所、毎月助け ている。直後伝道出来ないが、間接的な献金という方法で、伝道しているのである。 さらに地方レベルや、全国レベルの女子伝道会は、外国へ宣教師も派遣している。
〇 奉仕救済活動=一九八七年一〇月一四日、私は、ソウル市の聖国長老教会 (統合派)の復興会中、午後の時間に西大門病院の敷地内にある、ベテスダ長老教 会の集会に招かれた。その時、開拓伝道を始めて、まだ三ヵ月しか経たない、西 南教会(李牧師)の女子伝道の会員八人が中型トラックに牛乳、ヤクルト、パン、 餅、果物、・・・・・・などを満載し、慰問にきていた。そして、私の説教の前 に、美しい讃美歌を合唱して下さった。集会後、出席していた約二〇〇人の患者 の一人ひとりに、慰問品を分け与えもした。
大教会や歴史のある教会では、奉仕救済活動を行っているが、このような開拓三ヵ 月の教会の女子伝道会でも、喜びと感謝のうちに行っているのである。ここにも、 女子伝道会の生きた信仰の姿を見ることができる。私は、同じ体験を刑務所、警 察署、留置所、軍隊、病院など、いろいろな社会福祉施設でした。その他、復興 会の接待や奉仕、牧師就任式や長老・執事の按手式の準備の奉仕、毎日曜日の昼食 の接待、あるいは個人的に家に招いて接待する。このように、いろいろなところ で、キリストのよき証しをし、伝道を進めつつある。
・ 大訪問(訪問伝道)・・・・・・聖徳浸礼教会の場合
日本では幼稚園、小学校、中学校の先生は、毎年、四月か五月に、生徒の家族を 訪問する習慣がある。これは生徒を教育し、指導し、人間形成をさせるために大切 である。韓国の教会では、毎年春と秋の二回牧師が、信徒の家族を訪問し、そこ で集会をし祝福の祈りをする。これはまた、韓国教会復興の大いなる要因ともなっ ている。牧師は、教会で、熱い祈りを捧げてから、御言葉の宣教と多くの訪問者 に対する指導とカウンセリングをする。またそれだけでなく、神から与えられた 羊(教会員)の生活状況を詳しく知り、それによっては祈り、最善のことを指導 するのである。教会員が一〇〇人か二〇〇人ぐらいであれば、一〇‐二〇日間で 終わる。しかし、一〇〇〇人、二〇〇〇人となれば大変である。そのためには、 春は、三‐五月、秋は九月から一一月と三ヵ月間、連日、朝から夜まで訪問を行っ ているのである。
(a) その原理・基盤
訪問といえば、人が人のところに訪問することを考える。しかし、聖書では、人 間が人間を訪問することではなく、神が御子イエス・キリストによって、人を訪ね て下さっているのである。これが訪問の基盤であり、原点でもある。旧約聖書で、 神がアダムとエバに、また、ノア、アブラハム、モーセ・・・・・・の所に訪れ て語りかけている。新約聖書では、主イエス・キリストが町々、村々、(マルコ 一・三八、三九、六・六)や個人の家族(マルコ一・二九、五・三八‐三九、・・・・・・) さらに木に登っているザアカイ(ルカ一九・一‐一〇)にまで訪ねている。だか ら、主イエスに従った弟子やパウロから、全キリスト者に至るまで主イエス・キ リストに見習って訪問するのである。
(b) その目的
一般の教会では、新しい求道者の獲得、すでに求道している者や、バプテスタ決 心者のために訪問するのであるが、韓国で春、秋に行っている大訪問は、あくまで も教会員を第一に考えた訪問である。もちろん、牧師は冠婚葬祭、病人、その他、 必要な場合に、昼夜を問わず訪問してはいる。
ただし原則的は、新しい求道者の獲得や求道者のための訪問、区域長の責任のも とで行われている。
(c) その方法と実例
私もこの大訪問に一〇数回以上参加し、奉仕させてもらったことがある。その実 例を記してみよう。基督韓国浸礼会に属す、聖徳教会の大訪問(家庭訪問)に参加 し、そこで体験したことは以下の通りである。
◇ ◇
朝四時三〇分から、六時まで早天祈祷会に出てマタイによる福音書九章三五‐三 八節の御言葉を中心に「訪問伝道の重要性」を一時間説教し、その後、祈りの時を つくる。今日から、第一区域の訪問が始まるので、特にそのために祈り合った。 区域長の金婦人執事は集会後、教会に残って、朝食の用意をして下さった。午前 八時には、数会堂に第一区域に属している九人の方が集まり、 亠裴牧師の司会のもと、讃美と祈り、そして短い奨励を された。だいたい三〇分間である。
教会の近くなので、一一名の者が歩いて行った。まず最初に行ったのが姜執事の 家で、四畳半の一間に夫婦と子供三人が住んでいる。集会のためにわざわざ勤めを 休んで、迎えてくれた。部屋が狭いため、全員が部屋に入れず、三人が戸口に立っ ていた。 亠裴牧師が司会をし、まず讃美歌を一曲歌った。隣りの部屋や、 近くの家屋に聞こえるくらいの大声で讃美する(日本で、そんなことをしたら騒 音公害で訴えられるだろう)。それから 亠裴牧師が、その家庭のために祝福の 祈りをする。その後、私が説教した。マタイによる福音書六章三三‐三四節を参 加者全員が声を出して読んでから、すぐ私は話を始めた。だいたい二〇分‐三〇 分間。その後、私が祈った言葉を通訳してもらう。最後に讃美し、参加者全員で 大きな声を出して、その家庭の祝福を祈る。集会の時間は、全部で四五‐五〇分 である。その後、一〇‐一五分茶菓の時があった。そして次の家庭を訪ねるので ある。私達が次の家に行く前に、区域長は先に行っていて用意している。
姜執事の次は、同じ家に間借りしている李執事宅である。主人は失業中で、子供 達は学校に行っている。夫婦だけである。この家庭も、六量間に親子四人が生活して いる。一三人が集まる。 亠裴牧師の司会で、同牧師の祈りによって始まった。そ して一曲、讃美歌を手をたたいて歌い、金区域長が祈る。私の説教はヨブ記一章 からニ五分ぐらい。祈りでしめくくる。その全部を 亠裴牧師が通訳する。その あと、讃美歌をうたい、 亠裴牧師の祈祷で集会は終わる。また一〇分間、茶菓 の時(ジュースとヨーグルトなど)。
さらに二軒先の金執事宅へ、ここも六量一間に間借り生活をしている。部屋に入っ てすぐ黙祷の静かな時をもつ。そして、 亠裴牧師が祈り、讃美を一曲歌う。李執 事(前に集会をした家の)が熱心に祈った。私の説教は、創世記六章九節から一九 節について。約二五分間である。讃美を一曲歌い、全員で祈って終わる。次は、 すぐ近くの金さんの家である。この人は、女子青年で失業中の身。未信者の両親 と一緒に住んでいる。この家も、六量間に、中学に行っている妹と四人家族であ る。未信者のお母様と金姉妹が迎えてくれて、一四人が集まる。集会の内容は前 と同じである。茶菓が出る。少しではあっても、いただかなければ失礼なので、 一口だけ食べる。
午前八時三〇分に教会を出て、四軒訪問しただけで、もう一二時三〇分をすぎて いる。さらに安執事の家に行く。この家は、執事が一軒を丸々借りており、それを、 他の二世帯に一間ずつ貧している。執事宅は、六量間二つを使っている。夫婦で 執事になって教会の中心になって働いている。小学生三人の子供がいる。
部屋に入ったとたん、テーブルの上に、溢れるほどの昼食が備えられていた。私 は、ヨシュア記二四章一四‐一八節から説教して祝福を祈った。午後一時二〇分に は終わった。するとすぐ、張区域長が食前の感謝の祈りをし、食事に加わった人は 一六名だ。すべて、安執事夫婦が捧げて下さった。それも、刺身、プルゴキ・・・・・・ と韓国でも最高の内容である。家を訪問する牧師に、最高のもてなしをするのが、 韓国教会員の習慣である。集会に参加した者は、全員がそれにあずかるのである。 しかも、お腹いっぱい。
あとで聞いたのだが、昼食の接待をしたかった人が他に三軒もあって、決めるの に大変であったとのこと。日本では、考えられないことである。
午後、二時三〇分から、また訪問を始める。次の家は、安執事の隣りの部屋に住 んでいる、朴婦人の部屋である。複雑な事情があって、いま朴婦人は、会社員になっ ている息子と二人で住んでいる。ここでも 亠裴牧師の司会で同じような集会をす る。私は、ヨハネ黙示緑二章一〇節の御言葉から「死に至るまで忠実な信仰者とな れ」という説教をし、祈った。参加者は一〇名だった。ここでも、茶菓の用意が あった。お腹はいっぱいだが、小さめのヨーグルト一本を飲んだ。
三時一五分から、三軒先にある金執事宅へ。ここでも 亠裴牧師による祈りから 始まり讃美、安執事の祈り、そして、私がペテロの第一の手紙四章七‐一一節から 「心を確かにし身を慎んで、努めて祈りなさい」というテーマで一五分間説教し、 祈る。さらに一曲讃美し、全員で祈って終わった。参加者は一一名。
三時五〇分より、隣りの李婦人宅へ行き、直ちに 亠裴牧師の祈りによって集会 が始まる。讃美、金執事の祈り、私の説教、詩篇第一篇から「祝福の秘訣」という テーマで話し、祈る。一曲讃美し、全員一緒に祈り合う。参加者は一二名であっ た。
四時三〇分から、五‐六軒先の趙執事の家に。趙執事は、老いたお母様と二人暮 らしである。四量半一間の生活。全員は中に入れない。それでも 亠裴牧師の祈り が、集会の始まりの合図で讃美、一緒に祈った。私の説教は、イザヤ書四六章三 節と四節から「神が一切責任をもって下さる」という話をし、年老いたお母様に は按手の祝福をする。さらに讃美と、張執事の祈りで終わる。いろいろな果物が 出た。参加者は一三名。
五時一〇分から、またすぐ隣りの崔青年宅へ。この青年も失業中。両親と三人で 六量一間にいる。お母様と崔兄が集会に参加した。集会はいつもと同じ。私は未信 者のお母様を配慮して、エペソ人への手紙六章一‐三節の御言葉から「主にあっ て両親に従え」というテーマにもとづいて話す。そして、お母様が信仰するよう に祈る。讃美と 亠裴牧師の祈りで終わる。参加者は一二名。
五時四五分から金執事宅へ行く。ここは若い夫婦で、二人とも忠実な執事で、一 歳半の男の子がいる。八量間ほどの、広い部屋を借りている生活である。集会は 亠裴牧師の祈り、讃美一曲、この家の金執事が祈る。私の説教は、マタイによる 福音書一八章一九‐二〇節で「一致した祈り」について話し、祈る。参加者は一 四名である。
六時三〇分からは李執事宅へ。ここはアパートの地下にある部屋を借りている。 窓が部屋の上にある一番安い地下の部屋である。聖徳教会には、家屋やアパート の地下の部屋を借りている人が、全体の三〇%もいる(ソウル市内のある基督教 長老会の教会で、大訪問した際は、その八〇%以上が地下の間借り生活をしてい た)。冬になると、煉炭から出される二酸化炭素で、多くの人が死ぬという。集 会はいつもと同じ。私は、ルカによる福音書一六章一〇節から「忠実なキリスト の証人となろう」と話し、祝福の祈りをする。そして、讃美と全員一緒に祈って、 集会は終わった。お菓子とジュースが出る。参加者は一四名であった。
八時から、教会で特別聖会が始まった。それより前、七時半には朴伝道師の指導 のもとに、讃美と祈りの時がもたれている。私は八時三〇分から一〇時まで、テモ テヘの第二の手紙四章一‐五節の御言葉から「御言(キリスト)を宣べ伝えなさ い」じょいうテーマで説教した。集会は一〇時三〇分に終わった。
◇ ◇
このような大訪問を私は、月曜〜土曜日まで続けたことが一〇回(教会)以上あ る。しかし、韓国教会にいる牧師は、これを二、三ヵ月続けて行うのである。しか も年二回行うのである。使命感と同時に、体力がなければ出来ないと思う。これ を忠実に、やり抜いている教会は栄えている。こんな「大訪問」を韓国では牧師 も信徒も、感謝と喜びのうちに行っているのである。だから区域長の働きも大変 である。区域長をどのように教育し、訓練し、指導するかが、牧師の最大の課題 であると痛感した次第である。
*私のパソコンはこの字がありません。すると、それが形成してみます。
亠裴 =